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OBOGインタビュー Vol.1 成相直さん

脳のスペシャリストが振り返る MP の魅力とは

 

 東京医科歯科大学の脳外科准教授であり医学博士である成相直さん。脳のスペシャリストである成相さんは、MPで過ごした学生時代に余裕の無くなったカリキュラムで過ごしている現在の医学生ではとても得られない大きな体験ができたと振り返っている。

 MPに3年間参加し、MP79’CastMP81Property ChiefMP82’ Chairman(現プロデューサー、制作代表)を経験。役者、職人、そして団体全体の代表、と様々な面からMPを体験した成相さんが、学生時代を振り返り、MPの魅力についてお話して下さった。

 (取材:西田裕信、藤井希有子、文:藤井、協力:岡崎秀美、下村文基)

 

医者から役者まで。多種多様な仲間との繋がり。

 脳外科医として何時間にも及ぶ手術をこなすのが日常の成相さん。今は、医学生や大学院生の指導を行う教育者としての側面が大きくなっていると語ってくれました。医師あるいは医学研究者としてのキャリアをスタートしてからもMPで一緒に活動した仲間達との関わりは途絶えなかったと振り返る。

「ずっと交流を続けていたMPの仲間達と2006年に英語でミュージカルを演ずるアマチュア劇団を始めて私も3回ほど芝居作りを楽しみました。仕事が忙しくなってさすがに今はもう関われ無くなりましたが、その集まりは今でも続いています。」

 

 また、それ以外でもMPの仲間との繋がりは、今でも続いていると言う。

「普段の(医師としての)仕事で出会えないような人がMPの仲間には多いので話しているだけでも社会のいろいろな面を知ることができます。文字通り、医者から役者までいろんな人がいます。同窓会を招集すると日本の大学教授、海外で活躍している医学研究者、外交官、商社マン、外資系会社社長、放送や新聞などのマスコミ関係者、プロの舞台俳優などなどが集まって楽しく時を過ごすことができるなどはMPを経験していなければ得られなかった世界です。特に私は田舎生まれだったので上京してから東京でMPを通していろいろな世界の友達ができたことは、本業の医療に携わる上でもとてもありがたいことでした。」

たった3ヶ月。されど3ヶ月。

 35年以上、MPから離れていても続く人間関係。MPの3ヶ月間の特別さ、築く濃い人間関係の特別さについてこう語る。

「それまで何も知らなかった人達と出会って3ヶ月の濃密な時を一緒に過ごして、大きな作品を作り上げるという課程は他のいろいろな活動とは比べ物にならない大きな物なのだと思います。たった3ヶ月だけどそれだけで一緒に過ごした相手がどんな人間かという本質がわかってしまうというのがMPの活動なのだと思います。だから、そこで気が合った仲間とはおそらく一生全てをさらけ出して付き合っていけると感じるのだと思います。」

 

 MPが今の自分にとって“役にたっていること”についてもお聞きした。

「実利的なことを言うと、私は本当に自信を持って日本でも一番田舎と言える土地で育ったもので高校卒業までネイティブと話す機会は一度も有りませんでした。今のように英語が通じる環境なら世界中どこでも仕事ができているのはMPのおかげです。制作担当だった時には英語でアメリカに電話して著作権に関する相談をしたりとか実務的な英語を学生時代に積むことができたと言うかやらざるを得なくなったというMP経験は大きいです。そう言えば私と同じくらい田舎生まれで、同じ程度に当時は英会話ができなかったMP時代からの親友がなんと今では外資系会社の社長になっていたりというのもMP効果でしょうね。」

 

 最後に、あなたにとってMPとは?

「右脳の眠った3/ 4を目覚めさせてくれた存在。」

 

 

 芸術やクリエイティビティを司る右脳。第二言語の習得にも右脳の役割が大きいという英語の研究論文も私たちのグループから出版していますよと成相さん。3/4は未だに眠っていると言われている右脳の秘められた能力をMPの活動が目覚めさせてくれたと形容した。脳外科医らしいその言葉に、改めてMP OBOGのキャリアの幅広さを実感した。

 

 

プロフィール
成相 直(なりあい ただし)さん
昭和33(1958)年島根県出雲市生まれ。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 脳神経機能外科学 准教授・医学博士
昭和33(1958)年生まれ。昭和59(1984) 年 東京医科歯科大学 医学部 医学科卒業。
MP79’ Cast
MP81’ Property Chief
MP82’ Chairman(現Producer)

 

取材協力者の岡崎さんと。MP82のオリジナルトレーナーと共に。

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コメント: 2
  • #1

    Hiromi Hagi (木曜日, 05 4月 2018 23:37)

    こんにちは、秀美さん、直! MP81のHiromiです。
    脳科学と英語劇のお話、MPが与えてくれたかけがえのない恩恵、宝物。
    とても興味深く読みました。
    私は今学校現場で、英語劇を通してこどもたちを教育することにかかわっています。
    1年間の学習のゴールを、英語劇に持っていくことも多いです。
    生徒たちからは反応がよく、思いがけない「めざめ」をもたらすようです。
    それが、直のいっていることと、リンクしていると思います。
    また、東京の先生たちにも、英語劇のよさ、楽しさを伝えたり、指導する活動もしています。またOB会などでお会いしたおり、いろいろお話聞きたいです。聞かせてください。
    お元気で、かわらぬ活躍をされているよし、何よりうれしく思います。ありがとうございます!

  • #2

    ガロファロ法子 (アルバカーキ在住) (水曜日, 01 3月 2023 10:45)

    77年のミュージカル「ヘアー」でジーニーを演じました。渡米したのは85年、オレゴン大学で演劇を専攻。翌年にオーディションに合格してAddictという麻薬中毒患者のお芝居で一年かけてオレゴン中の中学、高校、市民ホールで公演。No to Drug!のメッセージを届けました。MPの経験がなければ、アメリカに行って演劇を本格的に勉強することはなかったと思います。MPの仲間で今もLINEで繋がってるのは77年主役を演じたシーラと同じキャストの啓子ちゃん。たくさーん、楽しい思い出をMPからもらい、その思い出は私の宝物。